農地は信託できるのか?
原則として、農地を信託することは禁止されています。
なぜなら、農地法という法律により、農地は所有者自らが農業従事者として耕作するか、他の農業従事者に貸して小作料をもらうことが基本であり、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、国民に対する食料の安定供給を確保することを目的としているからです(農地法1条)。
では、農地を信託財産に入れることはできないのでしょうか?
農地をそのままの状態で信託することはできないが、条件付きの信託契約をすれば可能です。
つまり、信託契約の信託財産目録に農地も入れておいて、いかるべきタイミングで農業委員会への届出もしくは許可の手続きを経れば、事後的に農地も受託者が管理できるようになります。
ここで、実務上大きなポイントとして、その農地が都市計画法上どのエリアに該当するかでかわってきます。
つまり、農地が市街化区域にある場合と市街化調整区域にある場合です。
市街化区域は、行政政策上、農地を非農地化(宅地化)してどんどん都会化しようという地域ですので、農業委員会への届出だけを出せば農地を宅地などに地目変更したり売却したりできるようになります。
一方で、市街化調整区域は、行政の政策上、農地を残しておきましょうという非農地化を抑制するエリアになるので、農業委員会の許可を得る必要があります。