農地転用許可申請

農地とは

「農地」とは、耕作の目的に供される土地と規定されています。

 

では、「耕作の目的に供される土地」とはどういう土地をいうのでしょうか。

 

それは、客観的にみてその現状が耕作の目的に供されるものと認められる土地をいい、休耕地や不耕作地等を含みます。

 

つまり、農地と判断されるのは、登記簿に書かれている地目で判断されるのではなく、その土地の現況によって判断されるもの、ということになります。

 

農地に該当しないものは、@農地に復元するための物理的な条件整備が著しく困難な場合やA農地として復元したとしても継続して利用することができないと見込まれる場合です。

 

@Aは客観的にみても農地として使えるとはいえないですもんね。

 

逆にいうと、@Aに該当しないものは、おおよそ「農地」といえる、ともいえます。

 

ついでにいうと、下図のように農地をコンクリート等で地固めし、農地の形質に変更を加えたものは、農地に該当しません。イメージでいうと、家庭菜園などがそれにあたります。

 

生産緑地と2020年問題をざっくり解説

高度経済成長の過程で、1970年代に大都市圏は好景気に沸き、地方から都市へ人口が流出。深刻な住宅不足となった。

 

そこで、政府は農地に高い税金を課し、農地を手放すように促し、結果として宅地が増加。農地を手放す人が増えた。

 

しかし、緑地は自然環境や防災の面で役に立つのではないかと再評価するようになり、1974年に生産緑地法を制定。

 

政府は長期営農継続制度が導入し、税制上のメリットが受けられるかわりに農業を継続してもらうように促した。

 

しかし、農地擬装等をするような悪い奴が現れるがあり、1991年に長期営農継続制度が廃止となり、再び、都市部の農地に高い課税が課せられるようになったので農業を続けたくても続けられない状況となった。

 

また、バブル期で、都市部で農地から宅地化がすすみ、農地がなくなってしまう勢いがあった。

 

そこで、1992年に生産緑地法が改正され、農業を継続することを条件に、固定資産税や相続税等の税制上のメリットを受けられるようになった。

 

そのことで、1992年頃に生産緑地に指定する農家が激増。ただし、これにはルールがあって、30年経てば生産緑地を解除しても良いことになった。

 

 

1992年から30年後・・・・・2022年!

 

 

2022年には、農地を持っていた人が宅地に変えたり売却したりして宅地化がすすむ可能性が高くなる。そうなると、地価が下がるなどの問題が生じるといわれています。

 

ですが、この問題を解決するため、2017年に生産緑地法が改正されて、「特定生産緑地制度」が創設され、所有者の申請により10年間延長できるようになりました。

 

2022年問題。不動産業界で問題視され、なにかと騒がれていますが、個人的には、特に問題は起こらないと考えています。

 

農業振興地域

農業振興地域とは、都道府県知事が農業振興を図ることが相当として指定した地域で、宅地を極度に認めない地域。

 

農業振興地域の中で、長期に渡り農地等として利用する区域を農用地区域とよばれている。

 

地図を青く色づけしたことから「青地」と呼ばれ、その青地に対して白地と呼ばれているのがある。

 

青地と白地

青地とは、農業振興地域内の農用地区域の農地をいう。今後10年以上に渡り、農業利用を確保するため、農地以外の利用を厳しく制限されている。農振除外の対象地であり、原則として農地転用の許可を認められない。

 

白地とは、農業振興地域内の農用地区域外の農地をいう。農地の集団性が低く、土地改良事業を実施していない等の理由から青地の指定がされておらず、青地と比較すると農地以外への規制は比較的緩くなっている。

 

白地には、甲種農地乙種農地とに分けられており、乙種農地はさらに3種類に分けられている。

第三種農地(乙種)

許可難易度C

 

鉄道の駅が300m以内にあるなどの市街地の区域または市街化の傾向が著しい区域にある農地。

 

宅地にするには、原則として許可が必要。

第二種農地(乙種)

許可難易度B

 

鉄道の駅が500m以内にあるけど、市街地化が見込まれる農地または生産性の低い農地。

 

代替性の検討が必要。周辺の他の土地に立地することができない場合に転用許可される。

第一種農地(乙種)

許可難易度A

 

10ha以上の規模の一団の農地。土地改良事業等の対象となった農地等。

 

良好な営農条件を備えている農地。

 

原則として農地転用不可。

甲種農地

許可難易度S

 

第一種農地の条件を満たす農地であって、特に良好な営農条件を備えている農地。

 

原則として、農地転用不可。

判断

上記のような指定された農地の種類によっては、農地転用の許可が難しい場合があるので、まずはどの地域に指定されているかを調査し把握する必要がある。

 

ちなみに、農地が市街化区域にある場合において農地転用をしたい場合には、都道府県知事に届出をするだけでよい。市街化区域は市街化をすすめたい区域なので、むしろ農地を宅地にしたいのであるから、特に規制をしているわけではないからである。

 

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